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教育設計サービス

教育設計のヒント(1) 動機づけ

●学習意欲を工場させる工夫

せっかく教育カリキュラムをつくっても、社員がやる気を持って学習に取り組まなければ意味がありません。学習者の動機づけの手法をカリキュラムの一つひとつに盛り込み、彼らのモチベーションを高めます。

●内発的動機づけ …それ自体がやっていておもしろいからやる。
●外発的動機づけ …報酬や地位を得るため、あるいは罰を受けないためにやる。
●好奇心 …「なんで?」「どうして?」という知的好奇心をくすぐる。
●ゴール設定 …具体的な目標設定が意欲を高める。
●自己効力感 …自分の力を認識させて、なんとかできそうだと感じさせる。
●期待成就と強化 …期待に応えられたという成就感と仕事に活かせたという満足感。
●自律性 …学習の流儀を自分で決められる度合いが高いと意欲につながる。
●原因帰属 …成功の原因が運や才能ですでに決まっていると思うと意欲がでない。
●社会的文脈 …自分のやっていることがなんのためになるのかをはっきりさせる。

ARCSモデル

教育設計のヒント(2) 学習課題の構造化

●どういった順番で学習するのか

学習すべき項目の関係づけのことを構造化と言います。それは、学習する内容が、言語なのか、知的技能なのか、運動技能なのか、態度なのかによって違います。例えば言語を覚える場合は、どの部分から覚えてもいいのですが(クラスター分析)、算数の引き算を覚えるといった知的技能を身につける場合は、まず、一桁の引き算の結果を覚え、次に借用して一桁の数を引くことを覚え、繰り下がりのない複数桁の引き算を同時に覚えて…といったように、順番が階層化されます(階層分析)。運動技能は手順が大切で(手順分析)、態度を学習する場合は、そのすべての組み合わせになります。

どういった順番で学習するのか

教育設計のヒント(3) 授業設計理論

●学びを支援する働きかけ

研修を組み立てるとき、テキストやマニュアルを作るとき、ストーリィを組み立てるのに役立つのが、授業設計理論の父と呼ばれる学習心理学者、ロバート・M・ガニエが提唱した「ガニエの9教授事象」です。この「学びを支援するための働きかけの順番は、人間の脳の情報処理モデルから考えられています。

ガニエの9教授事象/人間の脳の情報処理モデル

教育設計のヒント(4) 評価と学習成果

●システム的アプローチと伝統的アプローチ

目的が「講師の持つ知識を伝える」で終わる教育を、伝統的アプローチと呼びます。その場合、研修成果は、受講者によって異なります。一方、私たちが提案するプログラムは、システム的アプローチ。目的が現実の仕事に結びつき、その教育方略は実証的な裏づけに基づいています。また、学習者の特徴を分析した上で評価を先に設定してから設計しますので、高レベルの研修結果が大多数になります(なるように設計します)。

カートパトリックの4段階評価モデル

●ガニエの5つの学習成果と学習支援設計

ガニエは、学習成果を言語情報、知的技能、認知的方略、運動技能、態度の5つに分類しました。前出の9教授事象を、学習の狙いによって、どうやって実現すればいいのか、そのヒントになるのが次の表です。

ガニエの5つの学習成果と学習支援設計

教育設計のヒント(5) 学習モデル

●批判的学習モデル

営業の売上が落ちている。それは、営業マンに企画提案力がないからだ。企画提案力を向上させるために、「マーケティング理論研修」を導入しよう!とした場合、「マーケティング理論研修」を、どうすれば効率や効果が上がるかを考えるのが「手段探索モード」。「企画提案力向上」という現状認識があり、そのために「マーケティング理論研修」を導入するのがいいかどうかを検討するのが「目的合意モード」。それ以前に、パフォーマンスを向上させるのに、「企画提案力の向上」という認識が正しいのかを検討するのが「背景批判モード」。

批判的学習モデル

●学習転移モデルと経験学習モデル

基礎を学んで応用(形式知用)するのが学習転移モデル。PCスキルや税務・財務などの知識や技術学習する場合に有効です。先行オーガナイザーがいて、応用事例を入れながら伝達します。現場で自由に応用できるよう、上司にコミットしてもらうことが大切です。一方、経験学習モデルは、学習者が独自の見地を経験からつむぎだすために「学び方を学ぶ(暗黙知用)」というもの。業務の中で経験をさせ、実体験を振り返り、その後の活動に役立つと思われるエピソードを抽出。アカデミックな理論(研修など)で、学習者自身の概念づくりをサポートします。重要なのはマイセオリーを学習者が自ら構築すること。

学習転移モデルと経験学習モデル

教育設計のヒント(6) ワークプレイス・ラーニング

●仕事の中で学ぶ仕組みをつくる

ワークプレイスラーニングとは、「個人としての学習成果をいかに組織としての仕事に結びつけるか」という問題設定自体を否定し、「仕事の中の学び」を推奨すること。人は経験を通して新たな知識や価値観を得ます。また、繰り返し経験することで技術力やスキルが向上します。つまり、人材の能力を高めるためには、「仕事」と「学習」を連携させることが必要なのです。「仕事の中の学び」を促進するために大切なのは、社員が自発的に学べる環境を整備すること。日々の仕事のプロセスに学習の仕組みを取り入れることによって、高い学習効果が得られます。

学習環境のデザイン

【参考資料・引用資料】

詳説インストラクショナルデザイン―eラーニングファンダメンタル
鈴木克昭 【編著】 特定活動非営利法人日本ラーニングコンソシアム(出版)

インストラクショナルデザイン入門―マルチメディアにおける教育設計
リー,ウィリアム・W. オーエンズ,ダイアナ・L.【著】 清水 康敬【監訳】 日本ラーニングコンソシアム【訳】 東京電機大学出版局 ( 出版)

企業内人材育成入門―人を育てる心理・教育学の基本理論を学ぶ
中原淳【編著】 荒木潤子 北村士朗 長岡健 橋本諭【著】 ダイヤモンド社 (出版)